「理論派思考人」の作業部屋

科学・技術・量子コンピュータ・知的生産術・読書について理論的に解説します!

量子コンピュータQ&Aシリーズ②「量子コンピュータってもう開発されてるの?・誰でも使えるの?」

f:id:quantum8912:20210925235719p:plain

こんにちは!「理論派思考人」です。

 

量子コンピュータについてあまり知らない方はこう思うかもしれません。

 

量子コンピュータって開発されているの?

量子コンピュータって誰でも使用可能なの?

 

本記事では、量子エンジニアである管理人がこれらの疑問を解決します。

 

ではいきましょう!

 

 

量子コンピュータ」って存在しているの?

そもそも量子コンピュータって現存しているの?

仮想の話と現実の話どちらなの?

 

という疑問がある方もいます。

 

量子コンピュータ」はすでに存在しています!決して空想上やSF小説のお話ではありません。

現在は量子コンピュータが完成しており、且つ商用化もしています

 

商売や研究の対象として
企業や大学が活用しているということです。

 

f:id:quantum8912:20210925111017p:plain

IBM社の量子コンピュータIBM Quantum System One」

たとえば、写真はアメリカの巨大IT企業「IBM」が開発した量子コンピュータです。これで計算しているわけですが、なんといってもデザインがめちゃくちゃかっこいいですよね!

見る目を引き付けるエレガントさが際立っていて、量子コンピュータの存在感を強く印象付けています。

 

また「海外にしかないんでしょ?」という方もいるかと思います。

そんなことはなく、量子コンピュータは「今ここ日本にも」設置されています。

 

IBM社は2021年7月に、日本初・アジア初となるゲート型商用量子コンピューター「IBM Quantum System One」を「新川崎・創造のもり」で稼働開始しています。

www.ibm.com

 

 

今、量子コンピュータは「誰でも使える時代」

量子コンピュータは一部の研究機関とか企業のみに使用が限られているんでしょ?

 

このように思っている方も多いのですがそんなことはありません!

量子コンピュータは今、「誰でも使える時代」です。

 

つまりネット環境さえあれば、世界中どこにいても無料に使える時代です。

f:id:quantum8912:20210925233543p:plain

IBM社の量子コンピュータクラウド経由で誰でも使用可能

 

 

この事実は意外と知られていません。

これもIBM社を例にしますが、IBM社は全世界に向けて本物の量子コンピュータクラウドアクセスを可能にしています。量子コンピュータの仕組み・量子回路の設計・計算の実行といったあらゆるコンテンツを充実させており、量子コンピュータ入門」したい方にとっては最高の環境となっています。

 

quantum-computing.ibm.com

 

このリンク「IBM Quantum」からIBMIdを作成すればサービス使用可能です。使い方などを説明する記事も作っていく予定です。

 

本格的に学んでみたい方は参考としてはIBM Quantumで学ぶ量子コンピュータ [ 湊雄一郎 ]を強くお勧めします。これがあれば、わりと誰でも基礎を抑えることができます。

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

IBM Quantumで学ぶ量子コンピュータ [ 湊雄一郎 ]
価格:3300円(税込、送料無料) (2021/9/25時点)

楽天で購入

 

 

これもおすすめです↓

「量子」とかにあんまりなじみがなくて、前提知識がなくても量子コンピュータは気軽に使い始めることができます。とりあえずやっているうちに量子コンピュータの知識は、むしろあとから自然についてきます。

 

 

おわりに

量子コンピュータは実在しており、すでに誰でも使える時代であることを確認しました。

気になるかたは、とりあえずIBM Quantumを触ってみることをお勧めします。量子コンピュータが使える時代だったら使い倒してやりましょう!

 

また、本記事を読んで「面白かった」「ためになった」「これも書いてほしい」という方がいらっしゃいましたら、コメントで声掛けいただけると幸いです。元気が湧いてきます

量子コンピュータQ&Aシリーズ①「量子コンピュータが注目される理由【5選】」

f:id:quantum8912:20210925135728p:plain

 

こんにちは!理論派思考人です。

 

企業で量子コンピュータエンジニアを務める管理人が
量子コンピュータ」について疑問を答えるシリーズ第一回。
今回はずばり

 

量子コンピュータってどうして注目されているの?

について徹底的に答えます。

 

 

では行きましょう!

 

 

 

 

 

量子コンピュータってどうして注目されているの?

量子コンピュータ」は企業や大学といった組織から注目されているだけでなく

投資家や、はたまた国単位という非常に大きなスケールで注目を集めています。

 

どうしてでしょう?理由を4つ紹介します

 

①古典コンピュータを圧倒する計算スピード

量子業界では、私たちが普段使う従来コンピュータのことを「古典コンピュータ」と呼ぶのが一般です。

 

量子コンピュータは古典コンピュータが苦手とするような特定の計算分野において、圧倒的に速い計算スピードが期待されています。

 

例えばどんな分野でしょう?

それは「素因数分解」です。

素因数分解とは大きな桁の巨大な数をいくつかの素数の掛け算の形に分解することを指します。一般に大きな桁数の素因数分解は困難で非常に時間がかかります。

 

f:id:quantum8912:20210925140142p:plain

RSA暗号方式の概要(日経クロステックより)

 

実は現在のコンピュータで私たちの個人情報を守るために行う「暗号化」は、この「大きな桁数は素因数分解ができない」ことを担保して行っているものです。

 

量子コンピュータは桁数の大きい素因数分解を高速でこなす、ということはShorという研究者によって「理論的に証明」されています。理論的に証明されている、ということは将来量子コンピュータが実用的な性能になった場合「素因数暗号は短時間で破れる」ことを意味しています。

f:id:quantum8912:20210925130747p:plain

素因数分解アルゴリズムのショアさん



 

②これまでそもそも解けなかった問題が解けるようになる

普段私たちがパソコンに「計算が遅いな~~」とか「計算結果が返ってこないな~~」といった「極端な不満」を感じることはないと思います。

 

つまり「コンピュータは大体問題解ける」と思っている方がほとんどだと思います。

しかしこれは誤解です。世の中には現状解けない問題が山ほどあります。

 

私たちには「コンピュータの恩恵を受けて解決できていない」種類の問題が山ほど残っています。

例えば創薬や材料シミュレーションといった化学計算でしょう。最近の話題でいえば「コロナのワクチン」といったパンデミック危機を解決するような物質は、神様がその設計図をおしえてくれるわけではありません。

 

 

 

コンピュータの力を使って、分子の設計図を作ったうえで開発に着手するのです。ワクチンをはじめとするこうした化学の計算は非常に難しく、古典コンピュータでは解決に時間がかかるとされています。

量子コンピュータはこうしたシミュレーションの分野で特に有望視されています。「解けない」あるいは「時間がかかる」ような問題にアプローチできるようになることは、とても重要です。

 

③従来コンピュータの演算性能に限界がきている

ムーアの法則」をご存じですか?

「私たちが今使っているコンピュータの演算性能がどのくらいの勢いで成長するか」を予想した法則。これがムーアの法則です。

 

これまでムーアの法則に基づき、コンピュータのCPUチップのサイズが小さくなるにつれて計算性能は進化してきました。

しかし、最近「ムーアの法則は終わりが近い」と言われています。

blog.global.fujitsu.com

 

理由は「チップが小さくなりすぎたからです」

チップが小さくなりすぎて、「これ以上小さくしたらチップとしての性質を失ってしまう」ぐらいにまで小さくなってしまったのです。こうしたチップの物理的限界により「もうあまり古典コンピュータの性能向上は見込めない!」という風潮になっています。

 

古典コンピュータに限界があるならばどうすればいいのでしょう?

そのための量子コンピュータです。人類は新しいコンピュータ「量子コンピュータ」を発明しました。古典コンピュータを活用するだけでなく、量子コンピュータの性能を成長させていこう!というのが今後の方針です。

 

 

 

④将来量子コンピュータによる恩恵は間違いなく大きくなるから

量子コンピュータはまだ芽が生えたばかりであり、技術的問題により性能が未熟なので今すぐ活躍する、というわけではありません。しかし、将来性やビジネスとしての価値は無限大です。

 

その理由は従来の古典コンピュータの歴史を振り返れば、明らかです。

 

 

「コンピュータ性能が向上することで人間が受けた恩恵の大きさ」を想像してみましょう。

 

昔のパソコン

f:id:quantum8912:20210925120338p:plain

Windows95

20年~30年ぐらい前は例えばこのWindows95みたいな、ちょっと失礼な言い方を許してもらえるなら「クソデカパソコン」が家や仕事場にあって、「固まる」「計算が遅い」と文句を言っていたはずです。

 

それはまだいいほうです。もっと時代をさかのぼってみてください。幕末から昭和にかけて日本にはこんなキャッチフレーズがありました。

 

 

「読み・書き・そろばん」

f:id:quantum8912:20210925120902p:plain

そろばん

「そろばん」という、いわば計算機=コンピュータを使いこなせれば安泰だ!のような時代があったことも意識してください。

 

こうした「そろばん」や「クソデカパソコン」といった計算機時代を振り返ったうえで、現代の高度な計算機時代を見てみるとなにが言えるでしょう?それは

 

「人間の生活様式」や「便利度合い」「社会構造」は常にその時代の「計算機の性能」に大きく依存している

 

 

現代はスマホiPhoneiPadといった「内部に超高性能パソコンを搭載した小型タブレット」をだれもが気軽に持ち運べる時代です。計算機が持ち運べるようになったことで、人間の仕事スタイルの変化や生活様式に非常に大きな変化が生まれています。

 

計算機はそれだけ、人間の暮らしに密接に関係しているのです。

 

 

これを踏まえて、量子コンピュータに目を向けてください。

人間は新たに計算機を作り出しました。量子コンピュータです。

現在は量子コンピュータは性能が完全ではないため発展途上ですが、将来間違いなく人間の生活様式を変えていきます。

 

 

 

量子コンピュータの性能が成長するにつれ文明が発展していくのは、先ほど見た「そろばんからスマホへ」の例をみれば明らかです。もちろん、量子コンピュータを専門で扱える人材の価値は果てしなく向上し、量子コンピュータ業界は莫大な市場規模となっていくでしょう。

 


 

 

 

先行者利益の獲得

最新の世界時価総額ランキングを見てください。

GAFAMに代表されるようなこれら企業は「IT」の力を信じて、大きくなった企業群です。これらはいわば高度に成熟した「古典コンピュータの力」を使い、ビッグデータアルゴリズムを扱うことで世界を支配する企業です。

 

 

この時代はまさに「計算機」や「コンピュータ」を使いこなしたものが勝つ時代です。

f:id:quantum8912:20210925124042p:plain

世界時価総額ランキング(from Strainer)

 

将来的にはこうした影響力のある企業群の中に、量子コンピュータを先行的に実現・活用するような未来の企業は間違いなく入ってきます。量子コンピュータという新時代の計算機が、価値を生む時代は必ず訪れます。

 

先行者利益」という言葉があります。芽が出た当初から取り組んでいたまさに「下積みのころから応援していたファン」には特有の大きな成功や利益があるという意味です。

Googleやアマゾンが認知度の小さいころから計算機の活用に取り組み、徐々に存在感を強めていった例を見れば明らかです。

 

 

おわりに~量子コンピュータを始めよう!~

量子コンピュータがまだ出始めて、「多くの人があまりその内容・価値を知らない」今がチャンスです!

 

量子コンピュータについて学んだり、量子業界のマーケットに注目したりして「先行者利益」を狙いましょう!

「マーケターやエンジニアとして量子業界に関わっていきたい!」高校・大学で量子を学びたい!「将来安泰な仕事にチェンジしたい!」など多くの人にむけて今後も情報発信を続けていきます。

 

また、本記事を読んで「面白かった」「ためになった」「これも書いてほしい」という方がいらっしゃいましたら、コメントで声掛けいただけると幸いです。元気が湧いてきます

知的生産性を底上げするおすすめ本【3選】

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/q/quantum8912/20210920/20210920172116.png

こんにちは、「理論派思考人」です!

 

知的生産力を上げたい!

 

ブログ記事や小説の執筆に、新しい方法を試したい!

 

ビジネスや研究の場で使える「考え方のお作法」を身に着けたい!

 

このような思いを持つ方向けに、本記事では知的生産にまつわる書籍を3冊紹介します。

それぞれの本について以下2つのポイントに絞った解説をします!

①本の特徴・ウリ

②どんな人におすすめか

 

ではいきましょう!

 

1.ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 (星海社新書)

 

「書く人」「創る人」すべてに向けて書かれた救済書!

 

「書くこと」がただただ苦しい。。

いつまでたっても文字が浮かばない。

これって自分だけ?

 

誰しもが一度は感じたことがあるこんな悩みとしっかり向き合い、治療してくれるのが「ライティングの哲学」です。

 

4人の「プロの物書き」が座談会を通し、それぞれ抱える執筆の挫折と苦しみを告白します。彼らが告白する悩みは読者に対し、強烈な共感を生みます。「そうそう、これに困っていたんだよ!」と。

 

本書はそうした「苦しみ」を認めながらも、それを克服するような新たな執筆術の地平を拓いていく「執筆術開拓本」です。きっと多くの創作ヒントが見つかるはずです。

quantum8912.hatenablog.com

 

「文字を生み出す苦痛をなくしたい・新しい執筆術を獲得したい!」な人におすすめ

ライティングの哲学は非常に多くの読者を想定して書かれた「普遍的な」一冊です。

  • 「レポートが課された学生」「論文執筆を間近に控えた卒論・修論生」
  • 「仕事で大事な提案資料を任された会社勤務のサラリーマン」
  • 「読者をうならせるような粋な文書を書きたい小説家」
  • 「YouTuber」「絵描き」「ブロガー」といったクリエイター

 

「創ること・書くことは大変だ。でもそれを乗り越えて、いまだこの世にないようなかっこいい創作をしたい。」

こうした想いに対し、本書はあらゆるヒントと勇気を授けてくれます

 

執筆や創作活動する人なら誰しもにおすすめの一冊です!

 

2.思考の整理学 (ちくま文庫

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

思考の整理学 (ちくま文庫) [ 外山 滋比古 ]
価格:572円(税込、送料無料) (2021/9/20時点)

楽天で購入

 


刊行から30年以上経った今も多くの人に読まれる、思考法の大ベストセラー

 

「人のマネは得意、言われた通りのことはできる」グライダー人間を卒業して「飛行機人間」になろう!

コンピュータが高度に発達しAIが仕事を奪う「AI時代の到来」を予言していた筆者はAIに代替しない強い思考をもって飛翔できる「飛行機人間」になりなさいと主張します。

 

東大生らにも根強く支持される本書は「自分の頭で考え、自力で飛翔する」ためのヒントが詰まった、まさに今読んでほしい傑作です。

 

ddnavi.com

 

「軽やかにアイデアを生み出すエッセンスを身に着けたい!」人向け

本書の良さは「数々の思考法が手短に・要点をまとめてある」点です。

自分の気になった「思考法」をつまみ読みするような読み方でも十分楽しめます!

 

  • 思想を発酵させる。頭が煮詰まってうまく思考できない時はとりあえず寝かせてみる。
  • 新たな発想が浮かぶのを「待つ」
  • カクテル=異なる考えを調和させてカクテルのように新しい概念を生み出す。
  • 物事を抽象化して眺める「メタノート」のすすめ
  • とにかく書いてみる。手を動かすことで新しい考えが降ってくることもある。

 

思考の整理学」全35のエッセンスは自身の知的生産力を底上げする手がかりになります!

 

3. イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」(英治出版

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」 [ 安宅和人 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2021/9/20時点)

楽天で購入

 

 

研究やビジネスの優れた知的生産にはシンプルな共通の手法がある

ビジネスであろうとサイエンスであろうと本当に優れた知的生産には共通の手法がある。

 

神経科学の研究者としての道やマッキンゼー・Yahooにおけるビジネスの経験をしてきた著者安宅和人氏は、こう語ります。

 

 

 

本書によると、「知的生産」にはシンプルな本質があるといいます。

それは「今この局面で自分が解くべき問題=イシュー」を見極め、そして「解の質」を上げていくことです。

 

「まず何に答えを出すべきなのか」というイシューの設定こそが最重要なのです。

イシューからはじめよ」が従来のありふれた問題解決本や思考本と一線を画す部分は、ここにあります。

 

本書の特徴はこの「イシューの設定に基づいた問題解決のフレームワーク」を明確な論理構造で描き出している点です。具体的には

  • ①イシュードリブン:「イシュー=解くべき課題」の見極め
  • ②仮説ドリブン:イシューを細かくストーリー分割し、分析イメージを「絵コンテ」にする
  • ③アウトプットドリブン:絵コンテに沿って段取り良く、イシューの検証をする
  • ④メッセージドリブン:明確な論理と根拠で、聞き手にメッセージを伝える

と非常に充実した内容になっています。

 

研究を志す大学生や新社会人にこそ読んでほしい!

本書はラベル付けとしては「ビジネス本」=「ビジネスマンが読むことを想定して書かれた本」で売られています。

しかしその実体はビジネス本の枠組みを超越して、「研究者」や「クリエイター」など知的生産を志すものなら誰しもに適用できる「普遍的な」課題解決本です。

 

管理人自身大学院での研究中「イシューからはじめよ」を読んで、「これは研究にとても使える方法論だ」と感銘をうけ何度も読み返しました。

研究で最初に行うべき「課題の設定」から最後に行うべき「成果の発表」までを丁寧にカバーしてあったからです。

 

課題解決を生業とする現役のビジネスマンはもちろん

  • 「生産的な研究をしたい」
  • 「会社で良いスタートを切りたい」

という大学生や新社会人の方に是非読んでもらいたい一冊です!

イシューからはじめよ」で吸収できる内容は必ず、一生役に立つはずです。

 

 

おわりに

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

本記事では、「知的生産性向上のおすすめ本3冊」を紹介しました。

 

 

 

本記事を読んで「面白かった」「ためになった」「これも書いてほしい」ということがありましたら、コメントで声掛けいただけると幸いです。元気が湧いてきます

「書く者」・「クリエイティブをする者」への救済書

こんにちは、管理人の「理論派思考人」です!

 

「書くこと」がただただ苦しい。。

 

いつまでたっても文字が浮かばない。

 

 

と全く執筆が進まない人は多いのではないでしょうか?

 

本記事はそんな「物書き」のみなさんを救うために書かれました。

具体的には、最近刊行された気鋭の一冊を参照しながら

 

「書くこと」「創ること」を仕事にする人は
みな苦しんでいる

 

苦しみを解決し
新たな執筆術を獲得することは可能である!

 

という熱いメッセージを送りたいと思います。

 


 

 

ではいきましょう!

 

 

 

 

はじめに

 

「言葉が出てこない」「書けない」

 

真っ白のWord画面に絶望しながら「ゴミのようなレポート」を生成し教授に申し訳ない思いをしながらなんとか出した学生時代

 

「強力な作家性のある語り口」「読者をうならせるような流暢な語り」を目指し机に向かったものの、書いては消すを繰り返す「一歩進んで二歩下がる」状態に陥った

 

締切に間に合わない小説家

 

 

極論この世のほとんどの人は

  • 「書くことについて何らかの苦しみを覚えたことがある人」 あるいは
  • 「書くのが苦手だから、結果的に執筆とは縁がない人生を選ぶ人」

のどちらかに分類されるのではないでしょうか。

 

2021年7月に出た「ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論(星海社新書)」は、そんな「迷える書き手」すべての人を対象に書かれたまさに「救済書」です。

 

 

 

「哲学」と名前ついてるし「これは一部の哲学者が書いた難しい本」なんでしょ?

こう感じる方もいるかもしれません。ですがそれは間違いです。

 

 

本書は

  • 「レポートが課された学生」「論文執筆を間近に控えた卒論・修論生」
  • 「仕事で大事な提案資料を任された会社勤務のサラリーマン」
  • 「読者をうならせるような粋な文書を書きたい小説家」
  • 「YouTuber」「絵描き」「ブロガー」といったクリエイター

 

「書くこと」や「創ること」で生計を立てる
すべての人に読んでもらいたい傑作です!

 

 

 

本記事は「ライティングの哲学」の総合まとめのような
ありふれたものではありません。

本記事ではむしろ、「ライティングの哲学が読者にもたらす強烈な作用」
をより的確に説明するため
「本の構成」

「本の趣旨」

「どんな効能が期待できるか」

のみに的を絞り管理人独自の視点で解説します。

 

 

 

「ライティングの哲学」の構成

ライティングの哲学(以下本書)は3部構成となっています。

 

  1. 4人の「物書き」がそれぞれ抱える挫折と苦しみの共有のための「座談会」
  2. 「座談会」を経て変化した4人の「書き方の変化」について各々が独自のテーマで執筆
  3. 各々が書いた原稿を読み終えたうえで、再度「座談会」を開催

 

 

この「皆で座談会→各自執筆→皆で座談会」のいわば「座談会サンドイッチ構造」は本書のメッセージ性を非常に強力なものにしています。

 

書くことを生業にし、その道の「プロフェッショナル」ともいうべき4人の物書きが最初の座談会で語る内容は、「執筆のいかなる部分に苦しんでいるのか」です。症状の吐露ともいえます。

こうした悩みの共有を経たあとに行われる「2.各自の執筆」で綴られる内容は、明らかに座談会の影響を受けています。色濃く。

 

 

各自の執筆内容からは

  • 「執筆への悩み」が解消しつつあること
  • 新たな執筆術が生まれつつあること
  • それでもなお執筆は苦しい

という、「書くことに立ち向かう姿勢の変化」が明確に見て取れます。

 

 

各自執筆内容に目を通したあとに行われる「3.ラスト座談会」は、本書では「快方と解放」という言葉で特徴づけられます。4人の中の「書くこと」は本書の中で大きく変化して、最後は解放に向かうのです。

 

 

 

 

4人が対話や執筆を経て「執筆術の新たな地平」を獲得していく様を見ていると、なぜか「自分」も4人の中に混じって対話をしている気分になってきます。

 

彼らが吐露する「執筆への感情」はあまりに「分かる」というか、強烈にうなずけるような同意だったりするのです。「結局みんな似たようなことで苦しんでいるんだ」と。

そして「苦しみに対してどう立ち向かうべきか?」という武器・指針を彼らは我々読者に対し提示してくれるのです!

 

 

 

「ライティングの哲学」の趣旨

 

「書くことは苦しい。ではその苦しみに対してどう立ち向かうべきか?」

これが「ライティングの哲学」の趣旨です。

 

 

苦しみに立ち向かう武器や指針は何か?

本書ではこれを「諦めること。ちゃんと書くことを断念すること。楽に」するものだと述べています。

だれか一人がそう「決めつけた」とか「言い切った」わけではなく、4人の対話や執筆を通じてまさに自然にそういう方向に「向かっていった」のです。

 

これはとても興味深いです!

書くことが辛い、と訴えているのに「むしろ気にすんな、張り詰めすぎだ」と返され、管理人は「ちょっと全く想像をしない返しをされた時の芸人みたいな顔」をしてしまいました。

 

 

 

でも、実はこの「ちゃんと書かなくてよいんだよ」というのが本書の、あるいは「書くこと」についての本質的なメッセージなのです。

 

その逆「ちゃんと書かないといけない。立派なものを書かないといけないんだ僕は!」という半ば自己に対する強迫観念みたいなものが自身の執筆を阻むことが明らかになってくるのです。

 

 

本書ではこの「強迫観念」を例えば「神経症みたいだ」と表現しています。

 

神経症。ちゃんと書かねばいけない。だらしないのはダメだ!という規範にみんな縛られていたのです。まさに自縄自縛

 

結果的に本書は、ちゃんとしなければならないという強迫観念からの解放・生産的な意味での「だらしなくなること」を目指す全く新しいタイプの「執筆啓発書」「自己啓発書」になっています。

 

 

もちろんただ「諦めろ」と見放しているわけではありません。

本書には「規範に縛られず」且つ「もっと楽しく創造的に・生産的に」書くあらゆる術がいたるところに散りばめてあります。

 

例えば

  • 「メモのように、あるいは語りのように流暢に書く」
  • 「むやみやたらと順接や逆説の接続詞をつけようとして、がんじがらめになるな!接続詞なんて、無くても意味は案外伝わる。」
  • 「わざわざ段落の字下げせずに、むしろ散文的に、ラフに書いてあげる。字下げは書くことへのプレッシャーを生む」

といった魔法のような言葉が読むものに新しい視点・驚きを与えてくれるはずです。

 

 

どんな効能があるか

本書は書くことを生業とするまさに「プロフェッショナル」達が、それでもなお「書けない」と苦しみながらなおも、笑いと涙に満ちた議論の末生まれた「救済書」です。

 

哲学書であり、自己啓発書であり、読者に「勇気」を与えてくれます。まさに救済書

 

 

本書を読むことで得られる効能としては3つあります。

効能① 強烈な安堵・癒し・まさに救済感

本書帯にある「書けない&書き終われない病への処方箋!」とは、まさに救済・癒しです。

 

管理人は読んでいる中で強烈な「自分事感」を感じました。「そうそうこれに悩んでいたんだよ!」と自分の悩みが言語化されて結果として解決に向かう感覚は非常に気持ちが良いです。

 

 

効能② 本質的に全く新しい「仕事術」が見つかる

「これまでと全く違う、新しい、もっと書けるようになる執筆術」を開拓できるようになります。

 

本記事で紹介した以外にも膨大な量の執筆術が本書には眠っています。なにせ、登場する4人は、全員執筆のプロです。彼らの使う「仕事道具」「思考術」を膨大に吸収できます。

 

例えば4人は皆共通の仕事道具として「アウトライナー」という思考ツールを頻繁に推奨しています。

アウトライナーとは、本書のスタンスでもある「語りのように流麗に書く」を強力にサポートする思考ツールです。

 

ちなみに管理人は、執筆者の一人である千葉雅也氏の名著「勉強の哲学」を読んでアウトライナーの存在を知り愛用しているため、その有用さを強く認識しています。
アウトライナーを知らない人は、本書からその可能性を感じてもらい、是非活用してほしいです。モノが書けるようになります。

 

 

効能③ とにかく創りたくなる。書きたくなる!

「何かを創りたくなる」「書きたくなる」という創作への強い意欲が生まれるはずです。

 

 

何を隠そう管理人は本書を読んで、強烈に執筆への衝動に駆られました。人に伝えよう。話すように書こう、という本書のアイデアのもとこのブログを立ち上げました。記念すべき一記事目が本記事になります。

 

きっと皆さんも「創りたくなる」はずです

 

 

 

おわりに

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論(星海社新書)」は「書くこと・創ること」に関わるすべての人に向けた救済書です。

興味がありましたら是非読んでみてください!

 

また、本記事を読んで「面白かった」「ためになった」「これも書いてほしい」という方がいらっしゃいましたら、コメントで声掛けいただけると幸いです。元気が湧いてきます

 

 

 

 

「理論派思考人」 ブログ始めました

f:id:quantum8912:20210919162020p:plain

はじめまして「理論派思考人」です!

 

これが管理人のはじめての投稿になります。

本記事では今後記事を書いていく上での指針、つまり

 

「理論派思考人」はどんな人物なの?


どんな記事を書いていくつもりなの?

どんな目的でブログを投稿するの?

 

を解説します。

 

 

自己紹介

「理論派思考人」(以下管理人)は都内のIT企業に勤める男性です。

世田谷区に住んでいて、主に在宅勤務をしています。

 

大学院の修士課程修了まで通っており大学4年・修士課程2年の計6年間
一貫して国立大学に通っていました。

専門分野は「化学(Chemistry)」でした。

 

 

 

大学時代の研究テーマは「コロイド粒子」の物理化学です。

コロイドの理論について考えたり実験をしたりなど
研究に打ち込み、国際学会などで発表もしていました。

 

バリバリの理系です。さいころから数学・物理・化学が好きで
今の仕事でもその知識を活かしています。

 

今の仕事は「量子コンピュータ」です。量子エンジニアとでもいいますか

誕生から日が浅い新技術「量子コンピュータ」についてその性質を
社内向けに解説したり、実際にプログラミングなどをしています。

 

 

 

物事を理論化(モデル化)して考えるのが好きです。

自然現象を説明するような物理学の理論・数学モデルなどを学び、理解し

また人に教えることも好きです。

 

モデル化する(概念を操る)という意味では
哲学や論考にも興味があります。

 

合唱などの芸術活動もやったりします。

大学時代は合唱団で指揮を振っていたり、今でも都内の合唱団で
歌ったりと「表現活動」全般好きです。

 

 

 

何を書いていくのか

現時点で想定している投稿内容は以下のようなものです。

 

1.サイエンス全般の理論解説・考え

自己紹介のとおり管理人はサイエンス全般に関して大学レベルの知識、
興味やモチベーションがあります。

 

・数学:線形代数微積分・複素ベクトル空間などなど。
化学や物理学を学んでいくための道具として主に使っています。

 

・物理学:古典力学統計力学・平衡熱力学・量子力学などなど。

 

・化学:大学時代はそもそもこれを専門としていました。
物理化学や量子化学・コロイド化学といった理論系の化学について
特に詳しいです。

 

・生物学:上3つほど詳しくはないですが、人の認知などについて興味
があります。

 

これらについて自身が勉強で学んだことをアウトプットするため
に記事投稿したいと思っています。

 

また読者の皆様に何らかの「疑問」があったときにはそれに
応えるといったようなこともできればいいなと思います
(ex:量子力学古典力学の違いって何?とか)

 

2.テクノロジーについての理論解説・考え

仕事内容が「量子コンピュータ」であると書きました。

これはいわゆる「技術(Technology)」です。

現代社会で活用されている様々な技術があります。

 

「計算機(コンピュータ)」「人工知能AI」「深層学習(DeepLeaning)」

量子コンピュータ」「ブロックチェーン

「自動プログラミング」

 

などなどテクノロジーについてもモチベーションがあります。

テクノロジーの裏にある

・動作原理や背景の数学理論

・どうしてその技術は役立つのか?

などといったことについて学んだことをアウトプット
していきます。

 

 

3.読書紹介

本も読んだりします。以下のようなテーマについて書かれた
ものはよく読んだりします。

  • 知的生産の指南書
  • 人間の持つ知性とは
  • 科学とは何か?
  • 「科学」と「技術」を分かつものは何か?
  • 執筆術系の本

小説などもたまに読みます。気ままに読んだものの感想を
書いていきたいと思います。

 

 

4.日常・世田谷・旅行・人生

「日々の生活で生まれる感情」、「感動したこと」・「心のしこり」
「仕事(ビジネス)であったこと」など日記的に書いてみたいです。

 

 

 

したがって、想定しうる読者としては例えば

  • 学問を志す方(高校生・大学生・社会人のかた)
  • 知的生産の方法について考えたい方
  • 管理人と一緒に思考を繰り広げたい方
  • 単純に管理人に興味を示していただけるかた

です。

 

 

 

ブログを始める理由

最近仕事などを通じて、ある考えが明確になりました。

 

 

「アウトプットは優れた学習手段である」

 

 

「アウトプット=書くこと、人に伝えること」は
正しい理解なしではできません。

 

「なんとなく本を読んで分かっているつもり」になっても
いざ人に内容を伝えようとなると思考が止まったりします。

 

インプットだけでは自身の成長につながらない
と感じたのです。

 

 

 

人に伝えるためには、文献から知識を集めてきたり
他人が理解できるようなストーリー構成などといった
「編集」行為を自然とやることになります。

 

「こうしたアウトプット行為こそが、学習に必要だ」

 

ゆえに管理人は、読者にニーズのある知識を提供する
と同時に自身のためにブログを書きます。

 

 

 

以上理論派思考人でした!
1週間に少なくとも1本ペースでつまみ食い的に投稿
していきたいと思います。きままに