「書く者」・「クリエイティブをする者」への救済書
こんにちは、管理人の「理論派思考人」です!
「書くこと」がただただ苦しい。。
いつまでたっても文字が浮かばない。
と全く執筆が進まない人は多いのではないでしょうか?
本記事はそんな「物書き」のみなさんを救うために書かれました。
具体的には、最近刊行された気鋭の一冊を参照しながら
「書くこと」「創ること」を仕事にする人は
みな苦しんでいる
苦しみを解決し
新たな執筆術を獲得することは可能である!
という熱いメッセージを送りたいと思います。
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ではいきましょう!
はじめに
「言葉が出てこない」「書けない」
真っ白のWord画面に絶望しながら「ゴミのようなレポート」を生成し教授に申し訳ない思いをしながらなんとか出した学生時代
「強力な作家性のある語り口」「読者をうならせるような流暢な語り」を目指し机に向かったものの、書いては消すを繰り返す「一歩進んで二歩下がる」状態に陥った
締切に間に合わない小説家
極論この世のほとんどの人は
- 「書くことについて何らかの苦しみを覚えたことがある人」 あるいは
- 「書くのが苦手だから、結果的に執筆とは縁がない人生を選ぶ人」
のどちらかに分類されるのではないでしょうか。
2021年7月に出た「ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論(星海社新書)」は、そんな「迷える書き手」すべての人を対象に書かれたまさに「救済書」です。
「哲学」と名前ついてるし「これは一部の哲学者が書いた難しい本」なんでしょ?
こう感じる方もいるかもしれません。ですがそれは間違いです。
本書は
- 「レポートが課された学生」「論文執筆を間近に控えた卒論・修論生」
- 「仕事で大事な提案資料を任された会社勤務のサラリーマン」
- 「読者をうならせるような粋な文書を書きたい小説家」
- 「YouTuber」「絵描き」「ブロガー」といったクリエイター
「書くこと」や「創ること」で生計を立てる
すべての人に読んでもらいたい傑作です!
本記事は「ライティングの哲学」の総合まとめのような
ありふれたものではありません。
本記事ではむしろ、「ライティングの哲学が読者にもたらす強烈な作用」
をより的確に説明するため
「本の構成」
「本の趣旨」
「どんな効能が期待できるか」
のみに的を絞り管理人独自の視点で解説します。
「ライティングの哲学」の構成
ライティングの哲学(以下本書)は3部構成となっています。
- 4人の「物書き」がそれぞれ抱える挫折と苦しみの共有のための「座談会」
- 「座談会」を経て変化した4人の「書き方の変化」について各々が独自のテーマで執筆
- 各々が書いた原稿を読み終えたうえで、再度「座談会」を開催
この「皆で座談会→各自執筆→皆で座談会」のいわば「座談会サンドイッチ構造」は本書のメッセージ性を非常に強力なものにしています。
書くことを生業にし、その道の「プロフェッショナル」ともいうべき4人の物書きが最初の座談会で語る内容は、「執筆のいかなる部分に苦しんでいるのか」です。症状の吐露ともいえます。
こうした悩みの共有を経たあとに行われる「2.各自の執筆」で綴られる内容は、明らかに座談会の影響を受けています。色濃く。
各自の執筆内容からは
- 「執筆への悩み」が解消しつつあること
- 新たな執筆術が生まれつつあること
- それでもなお執筆は苦しい
という、「書くことに立ち向かう姿勢の変化」が明確に見て取れます。
各自執筆内容に目を通したあとに行われる「3.ラスト座談会」は、本書では「快方と解放」という言葉で特徴づけられます。4人の中の「書くこと」は本書の中で大きく変化して、最後は解放に向かうのです。
4人が対話や執筆を経て「執筆術の新たな地平」を獲得していく様を見ていると、なぜか「自分」も4人の中に混じって対話をしている気分になってきます。
彼らが吐露する「執筆への感情」はあまりに「分かる」というか、強烈にうなずけるような同意だったりするのです。「結局みんな似たようなことで苦しんでいるんだ」と。
そして「苦しみに対してどう立ち向かうべきか?」という武器・指針を彼らは我々読者に対し提示してくれるのです!
「ライティングの哲学」の趣旨
「書くことは苦しい。ではその苦しみに対してどう立ち向かうべきか?」
これが「ライティングの哲学」の趣旨です。
苦しみに立ち向かう武器や指針は何か?
本書ではこれを「諦めること。ちゃんと書くことを断念すること。楽に」するものだと述べています。
だれか一人がそう「決めつけた」とか「言い切った」わけではなく、4人の対話や執筆を通じてまさに自然にそういう方向に「向かっていった」のです。
これはとても興味深いです!
書くことが辛い、と訴えているのに「むしろ気にすんな、張り詰めすぎだ」と返され、管理人は「ちょっと全く想像をしない返しをされた時の芸人みたいな顔」をしてしまいました。
でも、実はこの「ちゃんと書かなくてよいんだよ」というのが本書の、あるいは「書くこと」についての本質的なメッセージなのです。
その逆「ちゃんと書かないといけない。立派なものを書かないといけないんだ僕は!」という半ば自己に対する強迫観念みたいなものが自身の執筆を阻むことが明らかになってくるのです。
本書ではこの「強迫観念」を例えば「神経症みたいだ」と表現しています。
神経症。ちゃんと書かねばいけない。だらしないのはダメだ!という規範にみんな縛られていたのです。まさに自縄自縛
結果的に本書は、ちゃんとしなければならないという強迫観念からの解放・生産的な意味での「だらしなくなること」を目指す全く新しいタイプの「執筆啓発書」「自己啓発書」になっています。
もちろんただ「諦めろ」と見放しているわけではありません。
本書には「規範に縛られず」且つ「もっと楽しく創造的に・生産的に」書くあらゆる術がいたるところに散りばめてあります。
例えば
- 「メモのように、あるいは語りのように流暢に書く」
- 「むやみやたらと順接や逆説の接続詞をつけようとして、がんじがらめになるな!接続詞なんて、無くても意味は案外伝わる。」
- 「わざわざ段落の字下げせずに、むしろ散文的に、ラフに書いてあげる。字下げは書くことへのプレッシャーを生む」
といった魔法のような言葉が読むものに新しい視点・驚きを与えてくれるはずです。
どんな効能があるか
本書は書くことを生業とするまさに「プロフェッショナル」達が、それでもなお「書けない」と苦しみながらなおも、笑いと涙に満ちた議論の末生まれた「救済書」です。
哲学書であり、自己啓発書であり、読者に「勇気」を与えてくれます。まさに救済書
本書を読むことで得られる効能としては3つあります。
効能① 強烈な安堵・癒し・まさに救済感
本書帯にある「書けない&書き終われない病への処方箋!」とは、まさに救済・癒しです。
管理人は読んでいる中で強烈な「自分事感」を感じました。「そうそうこれに悩んでいたんだよ!」と自分の悩みが言語化されて結果として解決に向かう感覚は非常に気持ちが良いです。
効能② 本質的に全く新しい「仕事術」が見つかる
「これまでと全く違う、新しい、もっと書けるようになる執筆術」を開拓できるようになります。
本記事で紹介した以外にも膨大な量の執筆術が本書には眠っています。なにせ、登場する4人は、全員執筆のプロです。彼らの使う「仕事道具」「思考術」を膨大に吸収できます。
例えば4人は皆共通の仕事道具として「アウトライナー」という思考ツールを頻繁に推奨しています。
アウトライナーとは、本書のスタンスでもある「語りのように流麗に書く」を強力にサポートする思考ツールです。
ちなみに管理人は、執筆者の一人である千葉雅也氏の名著「勉強の哲学」を読んでアウトライナーの存在を知り愛用しているため、その有用さを強く認識しています。
アウトライナーを知らない人は、本書からその可能性を感じてもらい、是非活用してほしいです。モノが書けるようになります。
効能③ とにかく創りたくなる。書きたくなる!
「何かを創りたくなる」「書きたくなる」という創作への強い意欲が生まれるはずです。
何を隠そう管理人は本書を読んで、強烈に執筆への衝動に駆られました。人に伝えよう。話すように書こう、という本書のアイデアのもとこのブログを立ち上げました。記念すべき一記事目が本記事になります。
きっと皆さんも「創りたくなる」はずです
おわりに
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
「ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論(星海社新書)」は「書くこと・創ること」に関わるすべての人に向けた救済書です。
興味がありましたら是非読んでみてください!
また、本記事を読んで「面白かった」「ためになった」「これも書いてほしい」という方がいらっしゃいましたら、コメントで声掛けいただけると幸いです。元気が湧いてきます
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